演奏とアレクサンダーテクニーク ~座り方・手のフォームについて~

 

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座り方について

生徒さんが弾くときに、座り方を見ていてよく感じることは、楽譜を読む事や曲を弾く事に夢中になりすぎて、上半身をピアノに近づけながら前傾したまま座っている時が多いことです。ピアノにのしかかるように体重をあずけてしまうと腕の自由が効かなくなり視野もせまくなるので、スピードを上げたり幅広い音程を弾くのがとても難しく感じると思います。

 

私自身がアレクサンダー・テクニークで最初に習ったことは、「座ること」と「立つこと」でした。楽に座っている状態を最初は先生に手助けしていただきながら初めて体験し、ピアノの前に座って演奏したとき、いつもよりどっしりと椅子に座っていて、手が左右にすっと伸ばしやすくなり、視野も広がって「鍵盤に指が行き渡る」感覚がもてました。

 

それまで日常生活で「座る」ことに関して全く意識していませんでしたが、ピアノを弾く方は長時間椅子に座っていることが多いので、「座り方」も重要な奏法のひとつなのではないかと思います。

 

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手のフォームについて

演奏中に、曲の音形によって弾きづらい、腕に力が入って疲れると感じることがあると思います。色々な原因があると思いますが、「それぞれの指の向き」と楽器の構造上「力を加える方向」をどのように“思う”のがベストなのかを明確にすると解決できることが多いと思います。

 

弾くときに、どうしても直接指が触れている鍵盤に意識が集中していまいがちですが、実際にハンマーが弦を打って音が出る点は、自分のからだから少し離れた場所に存在しています。その点に向かって力を届かすように“思う”ことで、手元にぎゅっと力をこめようとすることをやめ、響きを聴きながら、からだを固めずに弾く習慣をつけることができます。

 

「ピアノを自由に演奏したい」と思うなら、からだの構造とピアノの構造をきちんと把握して自由に動くからだをつくる練習も必要なことだと思いました。楽にからだが動けるようになれば、「弾けそう!」と思う曲も増えてくるからです。

 

ATを習うことで、自分のからだがどのように動くのか、どんな構造をしているのかがはっきりとしてきます。本来は楽に動くはずの自分のからだを、自ら動きにくくしていることも多く、その癖をやめるだけで心身が開放されていく感覚がもてることは楽しい体験です。