アレクサンダー・テクニーク(以下AT)のレッスン形態にはいくつかあり、個人レッスン・数名でのグループレッスンが主です。 ATは「こういう動きをすれば身体が楽になる」とか「正しい動きを習得すれば体調が改善する」という体操のようなものではありません。 結果的に動きが修正されて身体が楽になるということはありえますが、 ATの面白さは「型にはめるように身体を矯正する」ことではなく「自ら“思う”事によって瞬時に痛みが改善されたり、スムーズに身体が動くようになる、という部分なんです。 考え方を少しだけ変えることで身体が立体的に思えたり、周囲の景色の見え方が変わったり、手足や背中がいつもより長くて大きなものに感じたり・・・ ATのグループレッスンのあとは、人によって体験することは様々ですが、演奏をする方も、スポーツをする方も、 デスクワークをする方も、みなさんどこか心身が柔らかくなってニコニコしているのが印象的なんです。
立ったり座ったり。
ATのレッスンでは何か特別な動きを習うというわけではありません。 日常でよくする動き、たとえば「立ったり座ったり」 身体の重心がどこにあるのか、そして本来もっと楽に動けるはずの身体の動きを最初は先生に手助けしてもらいながら体験することから始まります。
たったこれだけでも、今まで「よっこらしょ」と重力を感じながら立ち上がったり座ったりしていた動作が「あれ?今立ったの?」というくらいスムーズに円滑に身体が動くのを体験することができるのです。 立っているときに、「いつもより背が高いような気がする」し、「地面から下から上に力を受け取っている」ような感じがするのです。 良い姿勢とは背中をピンと伸ばして頭を反らせることではなかったんですね。 先生がおっしゃるには「頭は“前に”“上に”向かう」のが理想的なんだそうです。
ふしぎから始まる面白さ
ATのレッスンの中で、繰り返し日常的な動きを「思う」ことによって改善し、 心身が楽になる体験をすることはまさに「ふしぎ」で、スムーズな動きをじゃましていたのは実は「私自身」だった・・・ そしてじゃまをしている私自身を発見してそれをやめていくところが面白いところであって、 何かを付け加えるのではなく「やめる」ことで本来の動きを取り戻し、
それをより専門的な演奏やスポーツに反映させていくやりかたは「学び続ける」という喜びを与えてくれるすばらしいメソッドなのではないかと思います。
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